フランス南西部、ペリゴール地方への里帰り時に訪問してまいりました、
中世の要塞城、Château de Beynac シャトードベイナック。
遠来の友人たちを必ず連れて行く名所です、カーブを曲がりお城が視界に入った時、
皆が「うわーっ!」と声を上げる一瞬が嬉しくて。
要塞城=戦争に備えた造りですので、絶壁の上の姿は難攻不落な雰囲気に満ち満ちて
います。建設は12世紀です。
(写真をクリックするとポップアップで拡大写真が出てきます)
川べりから細い坂道を登ります、民家も昔の姿のまま美しく保存されています。
(今も村民が住んでます!)
やっと見張り塔が見えてきました、30分くらい登ります、
本丸です。
跳ね上げ式の扉、物騒な時代だったのですね、
階下の台所と食堂、領主の家族用でなく衛兵用の場所。食事中も臨戦態勢で、
上階の大広間です、その時代のタペストリーも残されています。
このお城はリュックベッソン監督の「ジャンヌ・ダルク」のロケ地として使用されま
した。ジャンヌ役は彼の当時の奥様、ミラ・ジョヴォビッチさん。(↓ポスター)
劇中で、家臣と装束を交換した王が「ジャンヌがそれでも王を認識出来るのか?」
と試したシーンはこの大広間で撮影されています。(実際の謁見はシノン城で)
広間の横に小さなチャペルとフレスコ画。
領主の家族用の部屋。
義父がジャンヌ・ダルクの撮影中に城内に入ったそうで、
「中世の装飾が見事に再現されてた、綺麗だったよー。」と、羨ましすぎ。
最上部テラスへ。
真下は城の教会、この先のボルドーを抜け大西洋に向うドルドーニュ川。
ドルドーニュ川沿いには1000以上の古城が並びます、←数字間違えてませんよ。
手前に見えるのはフェイラック城、その先に小さく見えるのはカステルノー城。
ベイナック城の領主はどちらかというとフランス人、カステルノー城はだいたい
・・イギリス人の領主のものでした。(?)
と言いますのも、
11世紀から百年戦争終結まで、イギリスとフランスの国土は、両国の各領主の主権が
複雑にからんで、どちらの国かわからないような状態で共存していました。
どんな事情だったのでしょう、↓↓↓
1066年、フランス北部の貴族ノルマンディー公ギョーム2世がイングランドを征服し、
ウィリアム1世としてイングランド王に即位します。それからおよそ3世紀の間、
平たく言うとフランス人がイングランド王を継承していったんですね。
有名なのはイングランド獅子心王リチャード1世。(在位1189年-1199年)
母はフランス南西部大領主のアリエノール・ダキテーヌ、15歳でフランス王ルイ7世
と結婚した元フランス王妃です。王とは不仲で揉めに揉めて離婚することに。
しかしそこで転ばない彼女、離婚の2か月後にはフランス貴族のノルマンディー公
アンリと再婚し、彼はのちのイングランド王ヘンリー2世に。獅子心王の父です。
その二人の所有するフランスの領地はフランス国土の半分以上にもなりました。
つまりイングランド領です。元妻に裏切られたフランス王は焦りましたよー、
これがのちの百年戦争の火種に、、二つの王家のライバル意識は高まっていきます。
イングランド獅子心王はフランスで育ち、イギリスに定住することもなく、英語を
ほとんど話さなかったらしいですね。このベイナック城も彼の管轄領にありました。
**余談**
その3世紀ほどの間のイギリスの公文書はすべてフランス語で書かれています。
当時の英語は下層階級の言語扱いでした。そのへんの事情をイギリス人に突っ込んで
聞いてはいけません、雰囲気めちゃ悪くなります、笑。
ついに両国は百年戦争に突入、ジャンヌダルクの登場です。(しかし百年は長い)
城内チケット売り場に貼られたポスター、ジョヴォビッチ女史が凛々しく。
ペリゴール地方も主要な戦場となって、散々な荒れ様で、、
この戦争後イギリス人は海の向こうに帰り、今ある2つの国の形になったわけですね。
このお城でロケをした映画がもう一本あります。
「ビジター2」タイムスリップ物のドタバタ喜劇です。(1998年)
この映画封切時に「住民の皆さまにお世話になったから」と監督、出演者が
舞台挨拶に来てくれるということで、オットは県内の大映画館に向かいました、
「ジャン・レノも来るんだって。」
県知事はじめ偉い方々が列席する中、いつまでたっても映画が始まらない、
ザワザワ・・そのうちビビーとブザーが鳴って幕が上がり、結局どなたも
舞台挨拶に来なかったと。何の手違いか分かりませんが残念でしたー。
ペリゴール地方の観光は、アクセスが不便でどうしても車が必要です。
ボルドー発のオプションツアーがあると思います、そちらの方が便利かと。
古城にラスコー洞窟、ワインとフォワグラとトリュフの里、ぜひおいで下さいませ。
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